2018年の冬、ポルトガルのリスボンを訪れた。
常々、ユーラシア大陸西端の国を見てみたいと思っていたのだ。
仕事をギリギリに切り上げ、
荷物をまとめて飛行機に乗り込んだ。
大阪、ヘルシンキを経由し、
リスボンに着いたのは、二日後の午後。
降り立つと、
肌寒い雨が降っていた。
![リスボンの宿での朝食](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_breakfast-800x600.jpg)
しかし次の日、外に出てみると、
その陽射しの明るさに驚いた。
眩しい。
あたり一面が白い。
![リスボンの地下鉄駅](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_station-800x533.jpg)
それもそのはず、
建物の多くが、白っぽい色に統一されているのだ。
まっすぐに降り注ぐ陽の光を
そこかしこの壁が一心に照り返している。
![建物の合間から差し込む光](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_sunlight-800x533.jpg)
日差しに目を細めながら、
ぶらぶらと歩き始める。
![古い階段と歩行者](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_stairs-800x533.jpg)
![階段の踊り場に置かれたベンチ](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_bench-500x750.jpg)
建ち並ぶ建物は どれもかなり使い込まれているが、
よくみると、細部に 可愛らしいデザインが施されていることに気付く。
![デザインが施されたランプ](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_lampshadow-800x533.jpg)
何気なく使われているタイルは どれもユニークで、
思わず立ち止まり、見入ってしまう。
![レトロなタイルの壁装飾](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_tile_wall-800x533.jpg)
![リスボンのケーキ屋のタイル装飾](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_tile_cakeshop-800x534.jpg)
ショーウィンドウを覗き込んでも、魅力的な物ばかり。
![ショーウィンドウに並んだバスのおもちゃ](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_toy_showwindow-800x533.jpg)
![ショーウィンドウに並んだ本](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_bookshop-800x533.jpg)
丁寧に並べられた本たちを見ると、
ポルトガル語は読めないのに、手に取ってみたくなる。
右へ左へと しばらく歩いていくと、
大きなアーチが見えてきた。
![遠くに見えるアルコ・ダ・ルア・アウグスタ](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_augusta_arch-800x533.jpg)
そこをくぐると…
![アルコ・ダ・ルア・アウグスタの天井](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_arch_ceiling-800x534.jpg)
コメルシオ広場だ。
![コメルシオ広場の眺め](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_comercio_square-800x533.jpg)
なんて広いんだ。
立っている自分があまりに小さく
心許なくなるほどだ。
コメルシオ広場は、
日本語で言うと 貿易広場。
ここから たくさんの船が旅立って行ったのか。
振り返ると、
こちらも大きく立派な建物。
最高裁判所と政府機関が入っているとのこと。
色合いがポップで可愛らしい。
![コメルシオ広場に面して立つ建物](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_grandbuildings-800x533.jpg)
その前を、ガタゴトと走ってゆくトラム。
![コメルシオ広場を通るトラム](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_lisbontram-800x533.jpg)
シンメトリーなアーチは、回廊に端正な影を落としている。
一見 無機質に見えるものと、
その中を行き来し、商売をする人々との対比が面白い。
![コメルシオ広場近くのアーチで店を開く人々](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_cloisters-500x749.jpg)
![コメルシオ広場に面する最高裁判所の建物](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_greendoors-800x534.jpg)
![リスボン最高裁判所の回廊](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_cloisters_mono-500x666.jpg)
21世紀の人々の姿に、
遥か昔の大航海時代を重ねる。
当時もこんな風に、
たくさんの人が行き交っていたのだろうか。
![高台から見たリスボンの街の眺め](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_lisbon_landscape-800x533.jpg)
安宿に泊まっていたので、
コインランドリーに行く道すがら、
住宅街の中を散策する機会もあった。
![リスボンの住宅街の道](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_brightstreet-500x750.jpg)
観光エリアとはまた違い 少し雑然とした雰囲気もあるが、
その生活感が また良い。
![リスボン住宅街に立つ建物](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_street-800x533.jpg)
![柵の向こうに広がる空き地](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_grass-800x533.jpg)
道端に並べられた果物や野菜が、
なんとも美味しそうだ。
![道端に並べられた果物や野菜](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_fruits-800x533.jpg)
ここで暮らしたら…などと想像してみる。
うーん、どうだろう。
うまく行くかな。
でも案外、好きになるような気がする。
宿の受付の人の、
はにかんだ笑顔と 落ち着いた物腰を思い出し、
そんなことを考えたりしていた。
![住宅街に立つ古いビル](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_oldbuilding-500x750.jpg)
旅の後半、
雨に降られる日もあった。
どんよりと雲が立ち込めると、
途端に寒くなる。
緯度が低いとはいえ、
やはり冬である。
ようやく雨が上がった頃、
テージョ川沿いを散歩した。
![リスボン、テージョ川の桟橋](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_riverbridge-800x533.jpg)
あまりに大きいので てっきり海かと思っていたが、
地図を見て驚いた。
なんてスケール。
うちの近所の川とは大違いだ。
![リスボン、テージョ川の眺め](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_tejoriver-800x533.jpg)
川沿いの道を見ると、たくさんの人々。
週末の夕方、
これから夕飯を食べに繰り出すのだろうか。
![テージョ川沿いの道に集まる人々](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_riverside-800x533.jpg)
打ち寄せる波が、夕陽を映す。
![テージョ川、打ち寄せる波](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_seawave-800x533.jpg)
見上げると、
雲の合間から夕陽が差し込んでいた。
遠くにはヨットが一隻。
![テージョ川に浮かぶヨット](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_sailboat-800x533.jpg)
静かな川だ。
なんとなく、
この街の雰囲気を反映しているような気がした。
静かで 穏やかで、
それでいて、
根底に流れる、揺るがないアイデンティティ。
![リスボンの路地にあるレストラン](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_restaurant-800x533.jpg)
長い歴史の中で、
次々と起こる混沌の中で、
人々が育んできたもの。
![リスボン市内の急な上り坂](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_slope-500x750.jpg)
![リスボンの路地とテーラーの看板](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_talorsign-800x533.jpg)
それはきっと、これからも。
![リスボン市内の公園を歩く人々](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_park-800x533.jpg)
ユーラシア大陸西端の国は
眩しくて、穏やかで、魅力に満ち溢れた国だった。
今頃、どうしているだろう。
いつかまた、その景色に再会したい。
そう心から思う。
![路地のランプと青空](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/06/220610_lampandsky-800x533.jpg)
(撮影:2018年 ポルトガル・リスボン)