二泊三日で、函館を旅行した。
写真フォルダを見返したところ、
訪れるのは10年ぶりになるらしい。
久しぶりの小旅行に 心が躍るのを感じながら、
特急列車に乗り込んだ。
到着したのは、お昼も とうに過ぎた頃。
腹ごしらえをしながら、今日の行き先を考える。
海を見るには…と頭を巡らせ、
目的地は、金森赤レンガ倉庫に決まった。
市電を降りると、
午後の日差しがジリジリと照りつける。
まるで真夏のようだ。
しかしその暑さは、
海を目の当たりにすると吹き飛んだ。
海も空も、
なんと爽やかな青。
大きく深呼吸をすると、
潮の香りが胸いっぱいに広がる。
港には、大小様々な船が並んでいる。
ちらほらと見える、観光客と思しき人々の姿。
笑い合う声が賑やかで楽しい。
ぶらぶらと歩くうち、
陽はだんだんと西に傾いてきた。
海の水面は西日を受け、
キラキラと輝き出す。
見上げると
太陽から
一筋の光の道が。
わぁ…っ!
と声が漏れた。
こんなに美しいなんて。
そこだけが何か、別世界のようだ。
だんだんと夕方が近づいてきた。
函館山も ほんのりと橙色だ。
運河に差し込む夕日。
影が斜めに伸びていく。
赤レンガは夕日を浴び、
さらに色を深くする。
そろそろだ。
日が、沈んでいく。
夜の金森倉庫は、
全く異なる雰囲気を纏っていた。
あらゆる雑多なものは、
夜の闇に覆い隠されている。
街灯が映し出すその景色は、
まるで見知らぬ街のようだ。
たまにすれ違う観光客の姿を見て、
昼と同じ街であるのだと気付く。
西日に輝いていた水面は夜の闇に沈み、
静かに桟橋の明かりを映す。
街灯に照らし出される、建物の輪郭。
赤レンガ倉庫群が、
夜の底に佇んでいる。
帰り道に吹く風は、
涼しく、気持ちがよかった。
車は行き交うが、歩く人は少ない。
のんびりと、電停まで歩く。
市電を一人待っていると、
外食帰りと思しきグループが数組、後ろに並んだ。
一気に賑やかになる。
私はその話し声に心地よく包まれながら、
今日見た景色を 思い返す。
(撮影地:北海道函館市・金森赤レンガ倉庫周辺)
※ 函館の旅2日目は「元町〜船見町」を歩きます。旅の様子は、是非こちらをご覧ください。