海を見に行った。
快晴。
そして強風。
吹き荒ぶ風に
上着のチャックを上げる。
海はこの先だ。
砂に足を取られ
目を向けると
波模様の砂を
サラサラと風がさらう。
もうすぐ。
海だ。
傾いた陽に
水面がきらきらと輝く。
足元には貝殻と
羽根の欠片。
耳元で鳴る風の音に
引き寄せる波が重なる。
誰もいない砂浜に
遠い夏の喧騒を思い出す。
賑やかな声。
陽の光に熱された
香ばしい匂い。
大きく息を吸い込んだ。
夏にはまだ遠く
潮と
芽吹いた若葉の香りがした。
(撮影地:北海道石狩市)