次駅のアナウンスを聞き、
電車を降りた。
ショッピングモールを横目に見ながら、
連絡通路を渡る。
外に出た瞬間、
潮風が頬をかすめた。

朝のニュースは晴れを伝えていたが、
空は曇天だ。
灰色の雲が、
折り重なるように立ち込めている。

道には、
散歩をする人がちらほら。
海には、
停泊する船と、のんびり羽を休める海鳥。
海岸線の遊歩道を歩く。

しばらく経ち、
ふと、空が明るくなってきたことに気付いた。
青空がぐんぐんと、顔を出す。

遠くに見える、山の稜線。
たなびき、消えゆく雲。
淡い青のグラデーション。

朝の天気予報は、
“アタリ”だったみたいだ。


自然と足取りが軽くなる。
向こうに見える舟溜まりが
近づいてくる。

整然と並ぶ船、船、船。

水面は、
空を吸い込んだように青い。


深く息を吸い込む。
陽光と潮風が、胸いっぱいに広がる。

気付くと、
太陽はとうに高く昇っていた。

遠くからは、賑やかな工事音。
港の仕事が始まったようだ。

汗ばむ額を拭い、
ジャンバーの胸元を開ける。
この青との別れが惜しい。
もう一枚。
ファインダーをのぞく。

真っ青な空の只中で、
太陽は燦々と輝いている。
私は眩しさに目を細め、
最後の一枚を撮った。

(撮影地:北海道小樽市)