自転車を走らせていたら、
「赤いなにか」が視界に飛び込み、
思わずブレーキを握った。
振り返るとそれは、
数本の、もみじの木だった。
遊歩道沿いにある、
小さな広場。
その中央の花壇で、
大きく枝を広げている。
自転車を止め、
その木々を見上げる。
葉の色合いは、実に様々だ。
赤や黄色、
ほんのり残る緑。
その景色はまるで、
燃えているかのような。
カラーパレットのような。
流れ動く雲が、
その表情を刻々と、変えていく。
その影の濃さ、
光の鮮やかさは、
わずか一瞬だ。
私はまるで奇跡のようなその瞬間に、
思わず息を呑む。
目が離せない。
風が頬を撫でる。
葉は、サラサラと音を立てている。
(撮影地:北海道・札幌近郊)