とても古い鉄橋の話

先日小樽を訪れた際、
とても年季の入った、鉄橋に出会った。

てくてく歩いていると、
なにやら遠くに、重厚な影があるのだ。

よく見ると、
レンガ造りの鉄橋だった。

道端に突如現れる、古めかしい鉄道橋

この風貌ふうぼう
息を呑む迫力。

まるで意思を持って、
語り出しそうな雰囲気がある。

橋脚を正面から眺む。煉瓦造りの橋脚には、蔦の葉が生い茂る。

見上げると、
わずかに線路の枕木が見える。

隙間から差し込む光が、
つたの葉を照らす。

枕木のわずかな隙間から、日が差し込む。

それにしても、
つたの葉の勢いがすごい。

レンガや鉄を
ほとんど覆い隠してしまっている。

まるで、つたでできた鉄橋のようだ。

蔦の葉がレンガの橋脚を覆う様子。まるでぬいぐるみのような丸みを帯びている。
橋の真下から見上げた様子。わずかに見える鉄の部品にまで、ツタが絡んでいる。
橋脚の上部。生い茂る蔦は、ほんのり紅葉している。

おぉ…。すごい…。

見れば見るほどに、
気持ちが興奮してくる。

奥の方に目を凝らすと、
まるで、大昔の城跡のような重厚感。

廃墟に迷い込んでしまったのかと
錯覚してしまう。

奥に垣間見える橋脚。 古く、重厚感のある橋脚が、生い茂る草木の間に立つ。

感嘆のため息とともに、
反対側を見遣る、と、

こちらに伸びるのは、
現代的な鉄橋である。

蔦のない、すっきりとした鉄橋。枕木が、縞模様のような影を落としている。

幾重にも交差する線路の影に、
急に、現実がよみがえる。

ガタンゴトン…ガタンゴトン…。

古い鉄橋を走る函館本線の電車。

混乱する私をよそに、
電車は、のんびりと通り過ぎていく。

そうだった、鉄橋だった。

頭上の揺れに、
ふと気付かされる。

橋に寄り添う木々の間から、
日がまぶしく降り注ぐ。

橋に沿って伸びる木々と、木漏れ日。

ここに蓄積された、途方もない時間。

考えると、眩暈めまいを覚える。

もう一度、見つめる。

鉄橋はただ、
静かに、たたずんでいる。

(撮影地:北海道小樽市)

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