今と昔が交差する街で

竹原駅で高速バスを降り、地図を確かめた。

町並み保存地区は、徒歩で10分程か。
カメラを取り出しつつ、頭の中で何度か道のりをなぞる。

少し伸びをし、おもむろに歩き始めた。

竹原の街を流れる川を橋の上から撮影。河岸は護岸整備され、両側には年季の入った建物が立ち並ぶ。

川が印象的な街だ。

年季の入った建物が多く、
どこか懐かしい雰囲気が漂う。

河岸に立つ建物を対岸から撮影した写真。看板から病院と薬局と思われる。コンクリート造りで、長年使い込まれている様子。
川沿いに立つ商店のショーウィンドウ。陶器で作られた猫の親子の置物が4つ置かれている。

昔ながらの商店。

道沿いに並ぶ植木鉢。

住宅街の路地を撮影した写真。角には坂田時計店と書かれた商店がある。建物にそって、たくさんの鉢植えが並べられている。

細部に垣間見える生活感が、心地良い。

軒下に並ぶ自転車2台。壁には看板がかけられており、ピントぴったり、キドスカープ、竹原電化、と書かれている。

しばらく歩くと、
街の色合いが、ぐんと濃くなった。

竹原町並み保存地区の通りの風景。重厚な瓦屋根の軒が連なり、手前にはホテルの暖簾がかけられている。

美しい細工が施された、
瓦屋根の軒が続く。

雨樋をアップで撮った写真。銅で作られた雨樋は、正面に四角い細工が施されていて美しい。
町並み保存地区の家屋を正面から撮ったもの。軒先には、竹で作られた、様々な形の飾りが10個近くぶら下げられている。

軒先に置かれた物たちは
今住む人々の生活を伝えるが、

軒先に置かれた鉢植えと水の鉢を、真上から撮った写真。鉢の水面には、丸い水草が浮かんでいる。

視線を上げると、

瓦と土壁の織りなす世界に
今がいつなのかと、いささか混乱する。

土壁と瓦屋根の屋敷と、山寺に続く階段。階段はかなり長く、山の上まで続いている。

一歩お屋敷に立ち入ると、

古いお屋敷の中の眺め。正面と右側に格子窓があり、右前には裏口への出口がある。室内は薄暗い。

主人がひょいと顔を出しそうな、
そんな錯覚さえ覚える。

古い屋敷の中の様子。左側にある勝手口から、外の光が差し込む。

昔なのだけれど、
昔ではない。

天井に取り付けられた電球。裸電球に。半透明の傘がかけられている。

今この時も、
過ぎ去ったはずの時間も、

同じ新鮮さで、肌に伝わってくるのだ。

屋敷の座敷に飾られた生花。細い枝には、緑の葉と赤く小さな実がなっている。

混沌とした頭のままに、
ぶらぶらと歩く。

道端に立つ電柱。裸電球の街灯が取り付けられている。後ろには、瓦屋根の民家が立っている。

この気持ちをどう表現しようか。
もどかしく言葉を探す。

心の奥底には、
静かな興奮が湧き立っている。

瓦の軒をアップで撮った写真。丸い瓦の断面には、家紋のような模様がデザインされている。その瓦の合間には、一輪の野花が咲いている。

数百年前も、今も、
生身の人間たちが、まさにここを行き交ってきたのだ。

その事実を、
全身の細胞をもって、実感している。

重厚な建物が続く通りの風景。遠く山の方には、一筋の煙がたなびいている。

顔を上げ、息を吸い込む。
冬のひんやりとした空気が、鼻を冷やす。

遠くたなびく煙に、
今この時を思い出した。

(撮影地:広島県竹原市)

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