海岸線を走る列車の
駅を降りた。
線路沿いの小道を
ぶらぶらと歩く。

線路が
すぐ隣を走っている。
備え付けられた機器は
どれも年代ものだ。

足元には
色とりどりの花々。


越冬した木の実も。

静かな町だ。
聞こえてくるのは
穏やかな波の音。


そして
時折駆け抜ける
列車の音。

軒先にある道具や
線路脇に残された物たちが
この街の日常を
語っている。



遠くには 海鳥。

のんびり。
ぽかぽか。



坂道を越えると
ふと
視界が開けた。
この道の終点だ。

振り返ると

大きな橋!
陽の光を跳ね返す水面に

絶え間ない せせらぎ。

使い込まれた枕木も

潮風に吹かれた欄干も

その佇まいの
なんと美しいことだろう。




谷の底に
立っている。
自然が
肌に迫ってくる。
圧倒される
心地良さたるや。
橋のそばには
小さなお社があった。
この景色を
静かに見守っていた。

私は
この景色のお礼を告げ
その場を後にした。
(撮影地:北海道小樽市)