北海道の小樽に行った。
久しぶりの小旅行。
天気は晴れ。
暖かい。
春を感じる。
道路の端では
雪解け水が
小さなせせらぎを作っている。
濡れた路面が
光を反射して眩しい。
観光エリアから外れ
高台の方へ登っていく。
住宅街と言えど
結構な急勾配だ。
息があがる。
このエリアは 袋小路が多く
加えて この冬の大雪。
進むたびに
行く手を阻まれる。
こっちに曲がって。
あっちに曲がって。
だいぶ上まで登ってきた。
立ち止まって
息を整える。
と。
家々の間から
坂の下を一望できる場所があった。
遥か下では
雪かきに精を出す人が
ひとり ふたり。
屋根からは
大量の雪解け水が
すだれのように 落ちてくる。
聞こえるのは
流れ落ちる 水の音だけ。
静か。
この町の 日常。
しばらく 立ち尽くし
その景色を見つめていた。
さらに歩くと
大きな鳥居が
見えてきた。
地元の神社
水天宮だ。
鳥居をくぐると
境内に続く
長い階段。
意を決して
ひたすら 登る。
道が 雪に閉ざされていないことを祈って。
登り切ったところに
境内があった。
階段にできる大きな水たまりに
靴を濡らしながらも
なんとか境内まで
たどり着くことができた。
気持ちが良い。
海も街も 一望だ。
しかし
知らない街というのは
本当に面白い。
この眼下に広がる街のそこかしこで
いくつもの「日常」が
繰り広げられているとは。
自分の日常と並行する世界を
垣間見る 不思議。
なんとも心地よい
アウェイ感である。
帰りは
観光エリアを抜け
繁華街を通って
駅に向かった。
街には
観光帰りの人々と
家路を急ぐ住民達とが
入り混じる。
差し込む夕陽に
一日の終わりを知る。
気持ちが和らぐ。
さて 私も帰ろうか。
馴染みの「日常」へ。
(撮影地:北海道小樽市)