雪がめちゃくちゃに降り積もった。
しかも、ほんの一昼夜の間に、である。
一昨日までは晩秋の装いだったのに、
今朝起きると、一面が真っ白。
カーテンを開け、その白さに小さく歓声を上げた。
そして、「大変だ、冬になった」と急に沸き立ち、
カメラを掴んで庭に出た。
![雪に踏み出した長靴](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/boot_snow-800x533.jpg)
久しぶりに吸い込む、雪の匂い。
ピンとはりつめたように冷えた空気が、頬に気持ちいい。
積もったばかりの庭の雪は、息を呑むほどにふわっと軽やかだ。
思わずひととき無心にシャッターを切った。
![雪から顔を覗かせる小枝](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/snow_branch-800x534.jpg)
![雪を乗せるヒバの木](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/hiba_tree-800x533.jpg)
![雪囲いされた木と積もる雪](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/snow_fence-500x750.jpg)
![パイプに積もる雪](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/pipe_snow-800x534.jpg)
![雪に残る足跡](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/foot_print-800x533.jpg)
![雪面に映る小枝の影](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/branch_shadow-800x534.jpg)
雪の匂いが好きだ。
芯まで冷え込んだ、でもどこかに温かみのあるような、そんな匂い。
本当は雪の匂いなどないのかもしれない。
しかし冬になるとよく、「あっ、雪の匂い」と手を止める瞬間があるのだ。
その一瞬が、たまらなく好きなのである。
雪の匂いは、たとえ外にいなくとも感じるのだから、面白い。
例えば夜中、寝ぼけて廊下に出た時。
もしくは朝目覚めて、カーテンを開ける瞬間。
暖房の温もりが届かない家の隅や、カーテンと窓の隙間に、
その“匂い”は潜んでいるのだ。
![雪面のこぶと影](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/snow_bump-800x533.jpg)
一体何が、雪の匂いの“もと”になっているのだろう。
冷えた空気の、温度や湿度だろうか。
もしくは草木を雪が覆い隠して初めて顕在化する、空気の匂いか。
はたまたそれは、単に歳の数だけ凝縮された冬の記憶と相まって、
“匂い”という感覚に集約されているだけなのかもしれない。
どれも思い当たるような気がするし、どれも違うような気もする。
![冬囲いされた木と朝日](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/covered_tree-500x750.jpg)
実を言うと、
本当に“雪の匂い”があったらいいな、と思っている。
シベリアから流れくる大きな寒気が、道中で携えてくる様々な匂いの”もと”。
それらが絶妙に調合されて、この雪の匂いを作っているのだとしたら、
最高じゃないか。
シベリア気団からの、
とんでもないスケールの、お土産である。
冬がやってくる。
今年も雪の匂いを胸いっぱいに満たし、
白く静かな季節を味わいたい。
![雪面のこぶ](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/snow_surface-800x533.jpg)
![朝日に照らされる枯れ枝](https://asahi-kashiki.com/wp-content/uploads/2022/02/branches_sunlight-800x533.jpg)