始発の電車を降りた。
朝6時。
駅にはまだ 誰もいない。
早朝に立ち込める霧は
すっかり晴れていた。
ビルの隙間から
朝日が差し込む。
歩く人はまばらだ。
皆 足早に過ぎていく。
まるで街が
止まっているかのようだ。
街はまだ
眠っているのだろうか。
それとも
静かに今日を
待っているのだろうか。
朝日が街を
包み込んでいく。
鮮やかに
彩っていく。
ほんの束の間
異なる街の姿を
映し出しながら。
今日が 始まる。
いつもの朝が
始まろうとしている。
日が昇ってきた。
行き交う人々の数が
増えてくる。
見慣れた風景。
いつもの街の姿。
街は
何事もなかったかのように
動き出していた。
それは
朝見た景色が
幻であったかのようだった。
(撮影地:北海道札幌市)